【DAX】前月差・前月比・伸び率（成長率・増加率）

例えば売上のデータがあったとして、今月の売上と過去の売上を比較して何かをみたいときがあると思います。正直計算の考え方だとか統計だとか苦手なので今回は前月値を使ってどんなのができるかやってみます。

前月値の出し方についてはこちらの記事で↓

今月の売上と前月の売上を使って集計する

今回も売上が入っているテーブルと、売上日とリレーションを組んでいるカレンダーテーブルを使っていきたいと思います。2025_売上テーブルの「売上」列、カレンダーテーブルの「Date」列を使用します。

前月差

前月差はシンプルに今月と前月の間にどれぐらいの増減があるのかを見ることができます。
「今月の売上ー前月の売上」で出すことができます。

前月の値を表示するメジャーを先に作っておいて、それを使って計算をする方法もわかりやすくていいですが、せっかくなのでひとまとめにします。

前月の値には「LastMonth」、今月の値には「ThisMonth」という変数名を付けることにしました。

前月差 = 
    VAR LastMonth = CALCULATE(SUM('2025_売上'[売上]),DATEADD('カレンダー'[Date],-1,MONTH))
    VAR ThisMonth = SUM('2025_売上'[売上])

RETURN
    IF(ISBLANK(LastMonth),BLANK() ,ThisMonth - LastMonth)

普通に作ると前月の値が入っていない場合（0ではなくそもそもデータがない）はそのまま当月の値が返されますが、前月の値がないなら前月差を返してこなくてもいいかと思ったので、RETURNの後に「もし前月値が空白なら前月差は空白を返して、そうじゃないなら 今月値ー前月値 を返して」という式を入れています。その指定が不要なら「ThisMonth – LastMonth」だけ記載しておけばOKです。

前月比

前月比は、前月の値に対する今月の値の割合を計算することで、今月の値の増減を相対的に見ることができます。
比率とか聞いただけで逃げたくなりますがやっていきましょう。増えたか減ったかわかればよくないですか？

使いこなせるようになりたいですね。前月比は　今月の値 ÷ 前月の値 × 100　で出すことができます。×100のところはPower BIの表示指定で数値から％に変更できるので、その前までの部分を出していきます。

前月比 = 
    VAR LastMonth = CALCULATE(SUM('2025_売上'[売上]),DATEADD('カレンダー'[Date],-1,MONTH))
    VAR ThisMonth = SUM('2025_売上'[売上])

RETURN
    DIVIDE(ThisMonth,LastMonth)

作成した前月比メジャーは右側のデータタブに表示されています。作成したメジャー名をクリックして選択すると、上に「メジャーツール」タブがぽんっと出現するので、そこで％表示にしてください。勝手に×100されます。

ということで前月比も出ました。

伸び率・成長率・増加率

伸び率は前月の値からの増減部分に注目して、どれだけ増減したかをパーセントで見ることができます。前月比は「前月と比較した今月の値の比率」であり、単純に今月の値が前月の何倍になっているかが分かりますが、伸び率は「前月と比較してどれだけ増減したか」という変化の幅を把握しやすいみたいですね。

伸び率は今回のように売上などの特定のデータを計算するときに使われることが多いみたいなので、今回は「伸び率」と表現しますが、成長率も増加率も基本的な計算方法は同じようです。ただ、成長率は通常、年単位で計算し企業や経済の成長を示すのに使われ、増加率は人口などを表すときによく使われるという文脈の違いがあるようです。とりあえず「文脈の違いがある」ということだけ抑えておこうと思います。

伸び率は　（今月の値ー前月の値）÷ 前月の値 × 100　です。

伸び率 = 
    VAR LastMonth = CALCULATE(SUM('2025_売上'[売上]),DATEADD('カレンダー'[Date],-1,MONTH))
    VAR ThisMonth = SUM('2025_売上'[売上])

RETURN
    DIVIDE(ThisMonth - LastMonth,LastMonth)